こんな記事がありました。
なとろむ先生がこんなコメントを書かれていました。
はてなブックマーク - 「発達障害は親のせい」はデマ。発達障害の診断は、これからを考えるためのステップ 児童精神科医・姜昌勲さんインタビュー - messy|メッシー
- [トンデモ]
「遺伝が原因なら親のせい」というブックマークコメントと、それにスターをつけている人たちは、本気なのですか。
2017/03/03 11:02
なので、今回はつらつらと自分の気持ちを書いてみたいと思います。
いわゆる保守派、親学とかの主張では、発達障害を親のしつけのせいだとする主張があるようですが、発達障害は生まれ持った脳の伝達物質分泌の異常ですから、その面で「親のせい」とするのはあきらかに間違いだと思います。
ただ、私のような大人になってから発達障害が見つかったような例だと、やっぱり親の責任も多少はあるんじゃないかというのもどうしても思ってしまう部分がある。どうにも親に対して恨みを持ってしまうところがある。
親学が主張しているようなものとまったく次元もベクトルも違い、かつ幼稚な発想でじつに情けないんですが、親が子どもを作らなければ、自分はこんなにしんどい思いをすることもなかった、っていう恨みなんですよ。
親学が言うてるのって、いわば親への牽制じゃないですか。
発達障害の当事者からすると、どうしてこんなしんどい体に生んだ、どうしてこんなつらい、苦しい思いをさせるんだ、って親に対して思うんです。
だって避妊してれば子どもはできんかったわけですからね。
こうやって書きながらも幼稚な考えだなぁと思うんですけど、気持ち的には、こんなしんどい思いをするくらいなら生まれてきたくなかったなぁというのが本音です。
親に、発達障害の責任はありません。でも、心情的には親のせいだと思ってしまう。当事者側にはそんな気持ちがあります。
これが不毛な考えだというのはよくわかっています。だけど気持ちはまだまだ割り切れないのです。
私には兄がいて、彼は中学生のときに統合失調症になりました。兄はもともと自閉症だったんですが、虐待とストレスによる二次障害で統合失調症を発症しました。
ひどいなと思うのですが、親は「恥だから」という理由で、何年間も彼を病院へ連れていきませんでした。
夜中じゅう吠えていたり、毒が入っている!と言って食事を拒否してガリガリに痩せていたりしたにも関わらず、です。
兄は苦しみのためによく家で暴れていて、母親のことを殴りつけていました。
「どうして俺を生んだ!俺は生んでくれって頼んでない!」
こう言って、泣きながら母をぶちのめしていました。
ろれつがまわらなくて聞き取れないときもありましたが、子宮に戻してくれと叫んでいたこともあります。
やっぱり生きづらさがひどかったんだと思います。
私が子どものころは「発達障害」という概念そのものがありませんでした。
だから、私も社会でやっていけなくなるまで、まったく自分のことを健常者だと信じてうたがいませんでした。
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以前、精神科医の水島広子さんが、twitterで「毒親と呼ばれる親のうちの何割かは発達障害の可能性があるから、本人も大変だから許してやってくれないか」というツイートをして、炎上してしまったことがありました。このツイートはのちに消されていますが、私はこのツイートをした気持ちもわかるし、これに対して憤った人の気持ちもよくわかる。
うちの家もそうなんですが、親がASD(アスペルガー)だったりすると、家族間でもコミュニケーション不全があたりまえのように起きます。
相手の言いたい事がわからない。気持ちがわからない。何を言いたいかわからない。
自分の言いたい事が言語化できない。相手の言ったことをすぐに忘れる。
相手を尊重するということがわからない。自分のことしか考えられない。
これが家族の初期設定値になるのです。
とくに私の家なんかは家族の大半が自閉症なわけで、まともでないコミュニケーションを普通だと思って育ちますから、当然、家の外の社会…学校などでの振舞やコミュニケーションは珍妙なものになり、結果としていじめに遭うわけです。
よく言われている話ですが、発達障害者は社会性が育っていないことが多くあります。
だから親になっても、親としてどのように振舞っていいかがわからない。
子どもが学校でいじめにあっても、どう対処して良いかがわからない。
子どもを助けるどころか、いじめられたことを子どものせいにして逃げてしまうような、親としてどうしようもなく未熟な親になってしまう。
私の父親はすぐにパニックを起こしてしまうタイプのアスペルガーなのですが、
やはり子どものことでもパニックを起こし、殴るとか蹴るとかいう、子どもを抑圧する方法でしか対処ができませんでした。でもやっぱり子どもを殴ると脳がおかしくなって、発達障害はどんどん悪化しますし、二次障害で精神疾患を発病します。
何よりも子ども自身が自己尊厳がなくなってしまって人生が狂います。
だから発達障害の子どもが生まれてしまったときは、親がどれだけサポートできるかが重要なんですけど、親も発達障害だと余裕が全然なくてほんと地獄みたいになっちゃう。うちの家がまさにそうだったんですけど。
認めない親
発達障害の著名な研究者/医師で星野仁彦さんという人がいます。
この人が著作で書いているのですが、子どもの発達障害を絶対に認めない親が存在します。
うちの母もまさにこのタイプで、かなりヒステリックに「私の子どもが障害者なわけがない!」と何度となく叫ばれました。私が確定診断を受けた病院にまでわざわざ電話をかけて抗議、うちの子は何でもできる優秀な子どもだった!と強く主張してました。
こういう人の心理の底にあるのは、「私は優秀だ、だから私の子どもも優秀に違いない」という優性思想に近い考えや、
「この私が障害児を産むはずがない」という、少し差別感情の入った自己愛だと思っています。
子どもの特性を障害として認められない。障害を認められないから、お前は怠けているだけだ、努力しろ、本当はやればできるはずなどと子どもを追いつめたりしてしまう。子どもにとって大変なストレスを、親が与えている。
優秀な子供でなければ私の子ではないと育児放棄をしたり、虐待にはしる親も実際にいます。
こういうパーソナリティの人を親として持ってしまうと、当然ですが療育の機会を奪われます。親に責任があるとするならば、やはりここだと思う。
こういう親を持ってしまって療育をきちんと受けられなかった子どもはかなり悲惨だと思いますよ…。
私だって母を恨んでますよ、いまだに私の発達障害を絶対認めませんから。
最後になりますが、これはアメリカの調査らしいんですが、アスペルガーの人は平均寿命が18年ほど短いのです。というのも生きづらさに耐えかねて自殺をしてしまうからだそうで、私自身も苦しさから何度となく自殺未遂はしてきたんですが、データとして知ってもやっぱり「ああ〜」という感じになる。
ASDの自殺率は通常の9倍だそうです。
さらに言うと、女性でASD、加えてLDを持った人というのは非常に自殺率が高く、平均年齢もきわめて短いんだそうです。私やないか。いやほんま生きづらさがハンパない。
このくらい、生きづらさがひどいわけです。努力とかと全然違う次元で。
だから、私は親に「なんでこんなしんどいのに生んだ」という気持ちはやっぱり抱いてしまうんですよね。
追記
ブコメでの指摘を受けまして、一部誤字を訂正いたしました。id:Iridiumさん、ありがとうございました。
おわり