けっこう毛だらけ猫愛だらけ

いつもニャーニャー鳴いています。

公共の場所でDVを目撃したとき、私たちはどうすればよいのだろうか

いましがた、はっきりとわかるDVを目撃してしまった。

今でも手がぶるぶると震えている。

 

公共の場所、と言えるのかわからないのだが、婦人科に所用があって行っていた。

そこそこ広めの待合室だが、受付の人とのあいだには高い壁があって、待合室の様子は受付側からはうかがえない。ふだん、婦人科の待合室は基本的に平和だ。

 

そこへ母娘が入ってきた。中学生くらいの娘さんだった。

どうも娘は保険証をなくしたらしい。

待合室の席につくなり、問診票を読み上げながら母親がキレはじめた。

「あんたが保険証をなくしたから、この後の人にも周りの人にも迷惑がかかるんだよ!」

そう言うなり突如娘のことをぶっ叩いた。バシンという音が響く。

「あんたのせいで迷惑がかかった」というのは、モラハラの常套句であるが、

この母親の雰囲気から、常日頃からこのような口調で娘に接していることがうかがえる。

口ごもる娘に、「早くしろ!」「グズグズしやがって!」と言いながら母親が問診票を書いている。

 

はっきり言って、待合室でまわりにDVを見せているこの母親のほうがよほど迷惑である。

私は血圧、心拍数の両方があがり、手がぶるぶると震えてきた。

この母親はおかしい。考え方がおかしい。関わってはいけない人種だ。怖い。そう思った。

 

このようなことを目撃してしまったとき、私たちはいったいどうするのが一番よいのだろうか。

娘はハンカチを顔にあてて、静かに泣いていた。

 

 

私はこの娘さんに何も言えないまま待合室を後にするほかなかったのだけれど、娘さんがどうか自分を責めないでほしいと思った。

もっと自分が強かったなら、「うるさいよ、あんたのほうがよほど迷惑だよ。今すぐ児相に通報しようか」くらいのことは言えたとは思うのだが、いかんせんビビリなのでとてもできない。あのような狂った母親が母親では、娘さんも気の毒だ。

 

帰り道、母親と別れたのか、一人で駅へ向かう娘さんを見かけた。

声をかけようかと思った。「つらかったね、でもあなたは悪くないよ!」って言いたかった。

でも言えなかった。

娘さんは改札の向こう側へ消えていった。

 

 

おわり