けっこう毛だらけ猫愛だらけ

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無能な人が働くことの難しさ

先日、このようなニュースがあった。障害者雇用に関してのニュースである。

www3.nhk.or.jp

 私は、私自身が障害者であるから、なるほどなぁと思いながらこのニュースを読んだ。

日本には、現在約700万人の障害者がいるとされているが、民間企業で働いている障害者が46万人だとのことだから、数パーセントほどのトップ層だけが民間企業で働けているということになる。私自身は、民間企業で働いた経験は一度もない。まず雇われないし、民間企業でやっていけるだけの能力が皆無だからである。

 

ところで、以前このような記事を書いた。

nenesan0102.hatenablog.com

 私は、私自身がそもそもあまり生きるのには向いていない性質だと思っているのだが、生きることそのものができないわけではないので、やはり正確に表現するのなら「働くこと」という事になる。

 

 さて、冒頭にも書いているが、私は障害者で手帳も所持しているが、障害者枠の仕事に応募したことは一度もない。なぜならまわりに迷惑をかけることが明白だからである。

もともと私が障害者手帳をとったのは、あまりにも働けないため、障害者枠ならば…という期待から手帳を取得したのであるが、考えれば考えるほどこりゃ無理だと思って、応募することすらしていない。

障害者枠で働いている人のうち、安定して働けているのはおよそ2割だとのことであるが、それだってかなりの配慮をされているのになお8割が脱落していくというのが現実なわけである。安定して働けている2割の人が、体力的にも精神的にもかなりタフな部類の障害者であることは言うまでもない。

 すごく自虐的ではあるのだが、私は民間企業で働けるのだろうか。おそらく無理である。

 ・私のスペック:40代、ASDADHD、LD、APDの障害、自己免疫疾患難病あり。職歴ほぼなし。パワポ(少し)ワード(少し、トラブルに対処できない)、エクセル(算数障害のためまったく扱えない)、電話しながらメモ取れない、並行処理ができない、複数の人との会話は混乱、動作性IQが低いため作業がきわめて遅い、言われたことをすぐに理解できない。処理能力が低いためすぐにパニックになる。感覚過敏のため大きな音のする現場での就労不可。

これに加えて、発達障害の特性から、異常なほど自律神経が弱く、すぐに下痢発熱をともなう体調不良をおこす。だから仮にどこかが私のことを雇ってくれたとしても、以下のような状況になる。

〜〜〜〜〜

 月曜日:(前日に始まっている緊張から来る激しい下痢をかかえながら)出社、なんとか定時まで働く。後半は意識混濁状態。

 火曜日:疲れすぎて高熱を出す。朦朧として起き上がれず出社できない。夜7時頃にようやく熱が下がり起き上がる。疲労で全身にちぎれるような痛み。

 水曜日:なんとか出社するも出社時点でHPは残り5くらい。疲れから来る精神疲労がすさまじく途中で退社。(帰宅後寝込む。無理すると吐く。)

 木曜日:ふたたび発熱、出社できない。まる一日寝込む。ひどい全身痛。

 金曜日:月曜日からの疲れを引きずり、出社できない/もしくは、かろうじて出社するも疲れ過ぎて仕事にならない。

 土曜日:一日中寝込む。体中が痛む。

 日曜日:疲れすぎて回復できず、気づいたら夕方。

 →月曜日に戻る

 

 〜〜〜〜〜〜

  これを読んだ人はおそらく「これじゃさすがに無理なんじゃないか」と思われるだろうと思う。私もそう思う。というか、私が経営者だったら、こんなにも脆弱な人材が来ても現場が迷惑だし、これを読んだ皆さんは、同僚にこういう人がいたらかなり大変なんじゃないかと思うことだろう。だから私は民間企業で働こうなどという無謀なことはしていないし、このレベルだとほとんど障害者雇用ですら働くことが無理だということがわかっていただけると思う。

 加えてさらに発達障害者が難しいところは、業務のやりかたを教えてもすぐに理解することができないし、何度も同じ失敗を繰り返し、理解できないのは自分のせいなのに混乱してパニックになったりする。こんな感じだと周囲に迷惑をかけることは必至だし、会社側だって5万円の罰金を払って雇わない方がよほどマシという判断になるのも無理はない。障害者雇用の難しさ、こと精神障害関係に関して言えばこのあたりが難しいところだろう。だから風俗業界が精神障害や知的障害、発達障害を持った女の子が逃げ込む場所になってしまうのも無理はない。だって働ける場所がそこしかないし、そりゃそうなるよね。

 で、私の一週間がこのようなものだったとして、はたして私は自分が生きて行けるだけの賃金を稼ぎだせるのだろうか?と言えばまったく無理である。夫がいなければ私はとっくに餓死か自殺している。生きる力がないということはそういうことである

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  いつだったか、夫と二人でコメダ珈琲に行ったことがあった。

サービスをしてくれた店員さんを見ながら私が「いいなぁ。私も発達障害がなかったら、こういうところで働きたかった」と言った。夫がびっくりしていた。私が憧れる職業はもっと、高度な技能を必要とする職業だとどこかで思っていたのだろう。

コメダ珈琲の店員は複数のタスクがこなせない私にはとうてい無理である。だからこそうらやましい。

普通に働けるということがどれほど素晴らしいことか。無能に生まれるというのはこういうことなのである。

 

 

 

おわり