けっこう毛だらけ猫愛だらけ

いつもニャーニャー鳴いています。

雑感

つい先日、こんなニュースがあった。

news.yahoo.co.jp

 簡単に言うと、水戸市にある「令和納豆」というお店が、クラウドファンディングで出資を募った。そのときに「生涯無料」というかなり無理したコースを設定してしまった。わずか一万円で一日一食なら生涯納豆つきの定食が無料なのだ。これに1000人以上が殺到した。

新型コロナの影響もあってか店側が悲鳴をあげた。

店側は顧客から無料パスを無理矢理とりあげるという対応に出てしまったのだ。

これを読んでいる方はどう思われるだろうか。私は店側の想定があまりにも甘かったのでは?という気持ちがどうしてもぬぐえない。

 たしかに無料パス狙いで支援した人にしてみればそれは権利だ。しかし、店に無料パスばかりを持った人がつめかけてしまったら、店は収入が落ち込み、最終的には負債を出してつぶれてしまう。店がつぶれたら無料パスもくそもないのである。600円の定食が600円に設定されているのには理由がある。生涯無料というのはさすがに無理があると私は思う。無料パスの使用を「一日一食」ではなく「一週間に一度」くらいにとどめておければよかったのかもしれないが、もう今となってはあとの祭りである。

 

いま、少し気にかかるのはこちらのツイートである。

 おそらくこの人のフォロワーはあと1日か2日で目標の数に達すると思う。が、数ヶ月か経ったとき、はたしてどれだけの人が店を覚えているだろうか?

そして1円弁当を目的に殺到した客が1円弁当を購入できなかったら?客からのブーイングは必至だと思うがそのときこの店主さんはどのように切り抜けるのだろうか。

1円弁当の話だけが一人歩きして、「ここは弁当を1円で売るぞ!」というイメージがついてしまわないかがすごく心配である。

1円で弁当を買った客のうち、どれだけの人数が「ここは以前1円で弁当を売ってくれたから次は800円の弁当を買おう」と思うのだろうか?そう思ってくれるのが店側の狙いなのだが、経済状況が厳しさを増す中で、あまり楽観的な観測はできない可能性もある。

 とはいえ私はこの店の関係者でもなんでもないので、どのような展開になろうとも私には影響はないのだが、店を応援する気持ちがある人は1円ではなくできるだけ定価で購入してほしいと思う。1円で弁当を売るということは、確実に店側がその赤字を被っているからだ。

まだ中学生くらいのころ、人からこんな話を聞いた事がある。その人の話だから主観が入っているのはご勘弁いただきたいのだが、

日本とヨーロッパで、「客が値段をつける」というスタイルのレストランをやったとする。日本の店は早々につぶれてしまう。なぜならヨーロッパの人は、そのとき払う値段をつけるときに「皿、カトラリー、家具調度品、照明、空調、その他環境を構成するものすべて」を計算に入れて払う値段を設定するが、日本人は「料理のみ」に値段をつけてしまうからだ。

レストランにはさまざまな経費がかかっている。皿もカトラリーも損耗する。家具も時が経てば劣化してくる。空間も含めてそのレストランの料理だ。

 この話を聞いたのは何十年も昔のことだから、今はヨーロッパも事情が違うかもしれないが、冒頭の納豆定食で思い出したのはこの話だった。

無料の納豆定食もそうだが、極端に安いものには店側の負担が潜んでいる。だが客側がそうした店側の事情を考慮することはほとんどない。そりゃ立場が違うからそういうものなのだが、無料を何十年にわたって続けるというのは、どう考えても「持続可能」とはいえない。

新型コロナで数多くの個人飲食店が姿を消すことになったが、個人商店の数は高齢化もあって、ここ数十年くらいでものすごく減っているのだ。

www.chusho.meti.go.jp

 『「小売業」はピーク時の1981年から2012年までの31年間で50%減』とあり、かなりの数が減ってしまったことになる。

 新型コロナでも体力のない個人店が潰れ、コロナ後には大手チェーン店しか残らないのではないかとも言われた。ここはまだまだ様子を見なければいけないのだが、日本人の「お客様は神様」という感覚、どこか店側や企業側の努力にフリーライドするようなところが数多くの店を潰してきてしまったように思えてならない。

 店側もそうだ。客のすべてが善意でクラウドファンディングに参加するとは思ってはいけない。いくらでも図々しい人がいるという警戒心を持つべきだ。

 

体力のない個人商店が店の存続をつなげていくには結局はお金が必要だ。だから、このブログを読んでいる人がつぶれてほしくないお店があるなら、できるだけその店でお金を消費してほしい。

1円うなぎ弁当がどうなるか。フォローしてしまうと1円弁当販売につながってしまうので私はフォローするつもりはないが、様子は見守っていきたい。

お近くの人はできるかぎりこの店で定価で弁当を購入してほしいと願っています。

 

 

おわり