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発達障害者の性差について雑感

先日、このようなエントリを書いた。

nenesan0102.hatenablog.com

 このエントリを書いたあと、私の脳内にあがってきたのが、発達障害男性の状況について、である。

もともとのエントリ、NHKのサイトで宇樹さんが取り上げられたものについたコメントでも、このようなものがあった。

News Up 生きづらい… 発達系女子の“トリセツ” | NHKニュース

ある精神科医が「引きこもり等で苦しむ人のうち、経済的人格的に優れた配偶者と結ばれた女性は人生が好転するケースがしばしばある」と言ってた。その他のケースがより困難である可能性はおさえといた方がよさそう。

2019/11/19 20:17

b.hatena.ne.jp

 宇樹さんも私の場合もそうだが、これは一種の「救済」だと思う。

では、このパターンが男女逆で起きることはありうるのだろうか。

「引きこもりや二次障害を併発した発達障害男性が、健常者女性によって救済される」というパターンは、完全にないとは言いきれないが、やはり「発達障害の女性が救済される」というシチュエーションの方が、しばしば見かけるパターンである。だから、一部の発達障害者男性はこのことに「女はズルイ」という感覚を抱くようだし、男性がその障害によって救済されないこと、男性は強くあれというジェンダーロールが社会に存在することなども相まって、いっそうに置かれた状況を対照的にうかびあがらせるところがあると思う。

 

 以前から私はさまざまな疾病の男女差について大きな興味を持っていて、このような分野を研究する「日本性差学会」という学会も存在する。

発達障害に関して言えば、今の時点ではその男女比は4:1と言われていて、男性の方が女性の何倍も多いとされる。理由は左右の脳をつなぐ脳梁の解剖学的な差だとかホルモン差だとかさまざまな説があるがはっきりとは解明されていない。(男女比についても、論文によって差がある)

 

障害者のデータを内閣府のもので調べてみると、以下のようになる。

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出典:https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h30hakusho/zenbun/siryo_02.html

 

 現在のところ発達障害は「精神障害」という枠組みに入るので、そのデータを持ってきてみたが、あまりにもおおざっぱなくくりのため、このうちの何%が発達障害にあたるのかがわからないが、精神障害全体でいうと65歳以下の枠組みでは女性の方が割合が多い。しかもこのデータだと、この女性のうち何割くらいが結婚しているのかとか、そういったことはわからない。今の時点では、どのくらいの発達障害女性が「結婚による救済」を受け、それがどのくらいの割合であるのかというのは調べるのが困難である。

発達障害男性にしばしば見られる「女は結婚できてズルイ」という感覚は、感覚としてはわかるのだが、家事や育児がまったくできずに離縁されたりする発達障害女性がいることを考えると、「けっこう崖っぷちなのではないか」という感じもなきにしもあらずだと思う。

 

 

 急に話が変わってしまうが、私はいつぞやネットで読んだとある言説に非常に納得したことがある。それは次のようなものである。

人の男と女には生まれ方の性差があって、男性は個人差が大きな個体がバラバラに生まれるのに対し、女は平均にもっとも近い個体が多く生まれる。 

…という説である。どこで見たのかもうわからなくなっているし、トンデモ説かもしれないのだが、この説に私は非常に納得してしまった。もしこの説の起源をご存知の方がいらっしゃればぜひご一報願いたい。

言われてみれば、男性は天才から障害者までの幅がすごく広いし、世界中を見渡してみてもビリオネアのほとんどは男性である。一方で刑務所の受刑者数やホームレスの男女比には明確な性差があって男性のほうが圧倒的に多い。

公立小学校の低学年のクラスで考えてもらえばもっとわかりやすいだろう。身なりがぐちゃぐちゃで遅刻ばかりで忘れ物も多いという生活が成り立っていないような児童は男児が多く、女児でそこまでのひどさを露呈する女児はあまりいない印象がある。

前出の内閣府の調査でもそうで、65歳以下の知的障害者数については、

知的障害者数(療育手帳所持者数)を性別にみると、65歳未満では男性が 49万7千人(62.5%)、女性が 29万5千人(37.1%) 

と、男性の方が圧倒的に数が多い。

 

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 (障害者全体や精神障害者数での性差はそれほど大きくないのに対し、知的障害者の性差が突出して大きいのがわかっていただけると思う。)

犯罪白書』(平成29年度版)からのデータ、刑務所の受刑者数の性差もまた大きい。

 

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出典:http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/64/nfm/n64_2_2_4_1_3.html

 男性受刑者数1万8462人に対し、女性受刑者数は2005人しかいない。じつに9倍もの性差がある。少年院への入院でもあきらかな性差が見られる。

 

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出典 http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/64/nfm/n64_2_3_2_4_1.html

このグラフは平成29年度の犯罪白書からお借りしたものだが、平成28年のデータでは女子は全体の7.6%にすぎない。9割以上の非行少年は男性ということになる。少年非行と知的障害〜境界知能に大きな相関があることは、宮口幸治先生が著書の『ケーキの切れない非行少年たち』で指摘しているとおりである。

しかしなぜこうした性差が現れてしまうのか、私には今のところはっきりとはわからない。が、私は「男性は女性に比べてその個体差が大きく、女性は平均的な個体が一番多く生まれる」という説を支持している。

 

 このように知的障害や発達障害を持って生まれてしまった男性がきわめて苦しい人生を強いられるのは想像にかたくない。最初にあげた「結婚による救済」はあくまでも結果論であって、離婚率の高さを考えたらけして安易に喜ぶべきことではないのだが、それでも「そのくらい希望を持ってもいいじゃないか」と思ってしまう気持ちはよくわかる。

 

 

 ここまで性差があるという話をしてきたが、同じく発達障害女性も苦しい人生を強いられるのはある。しかしながら発達障害女性と発達障害男性を比べると、やはり障害の程度にも性差があるのではないかと思うときもある。男性と女性を比べるというのは、そもそもがけっこう問題をはらんでいるが、発達障害男性もまた、マッチョ指向の男性社会の犠牲者だなという感じもする。

 これは私がほんのり思うだけだが、経済面で稼ぐことができない男性は、せめて家事スキルを少しでもあげてほしいと思う。そのことで救われるという保障はないのだが。

 

雑感なのでここで終わり。

 

 

おわり