少し前、コロナの後遺症でおそらく難病の筋痛性脳脊髄炎(ME/CSF)と思われる状態になってしまった人のnoteがバズっていました。これを書いている時点でなんとブクマが1100を超えています。
ところで私はそこそこの年月を生きてきているおばちゃんなわけですが、それなりに長く生きていて、「人の人生なんてほとんどガチャなんじゃないのか」という感覚がすごく強くなってしまいました。
例えば、この新型コロナに関して言えば、このすないぬさんだけではなく、著名な芸能人が複数陽性になったことを報告しています。女優の石原さとみもかつて陽性になったことが報道されましたが、彼女にはこのような重篤な後遺症の報告はありません。もし仮に彼女がここまでの後遺症を抱えた場合、女優としての活躍はまずできなくなるでしょう。
そう思うと、どんなに気をつけていてもかかる時はかかるし、後遺症もまた一定数の人に起きてしまうわけで、世界規模でで大きなロシアンルーレットをやっているような気持ちになってきたりします。
ちなみにすないぬさん以外にも、6月の初めにこんなツイートを見かけたばかりで、去年くらいからこうした重篤な後遺症があるというのはちらほら見かけていた感じがします。
コロナにかかった時なぜあんなに放置されてしまったんだろう 救急車で運ばれても検査してもらえなかったのはなんでなんだろう なんで私は治らないんだろう なんで毎日寝たきりなんだろう なんで大学にも行けなくなっちゃったんだろう
— 検査難民からコロナ後遺症(抗体陽性)でお金が尽きて退学になりそうで鬱になり通院している人 (@ajj60371907) 2021年6月1日
これら一連の後遺症群を「ブレインフォグ」と呼んでいるようなのですが、私がこの言葉を知ったのはごく最近です。
国立精神・神経医療研究センターの発表では「ブレインフォグ」についてこのように伝えている。(去年の記事)
この発表を読んで思ったんですけど、“ME/CFSの症状である脳内処理作業やワーキングメモリの機能低下” って、コレ、まんま発達障害の症状やないか。
でも発達障害って先天性だし、子供の頃から周囲から浮きまくるから自分でなんとなく「あ、自分はおかしいんだな」というのがわかってきたりするし、その状況を許容していけたりするんですけど、すないぬさんのように後遺症で突如としてこのような状態になり、しかもそれまで正社員として働けていたとしたら、あまりの落差に想像を絶するつらさなんじゃないかと思います。これは本当につらそう…。。
でも、一体どういう問題が起きて、何がどうしてブレインフォグを引き起こしているのか?というのはまだほとんど解明されていないわけですよね。
精神・神経研究所のサイトには、
抗β1および抗β2アドレナリン受容体抗体が、ME/CFS患者の痛みを始めとする様々な症状を説明しうる脳内の特定の部位の異常と結びついていることが明らかとなりました。
とあるんだけれど、新型コロナ後遺症の場合、何が原因で、どのような作用機序でどこでどう作用しているのか、なぜブレインフォグが起きる人とそうでない人がいるのか等、まだ全然解明されていないわけです。
これらの脳を起因とするタイプの難病ってほとんど寝たきりに近い状態になるので、「ただの甘え」とかに見られてて、確定診断もすごく難しかったり、専門医が全くいなかったり、スピリチュアル系の医師とかが出てきて法外な医療費をとったりしていて、患者さんは本当に翻弄されてしまったりします。
うすーく知っている私の知人の医師も、「あれは甘え。これ見よがしに診察室に車椅子でやってきたりするけどね。精神的なものです」とかバッサリ切り捨ててましたから。まだまだそういう感覚の医師も珍しくないのだろうなと。
私が発達障害でかかっている主治医がすごく良い人で、私の訴えを聞いてドクターを探してくれたんですけど、なんかもう怪しい感じの人しかいなくてちょっと驚いたと言っていました。
訴えを聞いてもらえなかった患者が、スピリチュアル系に走り、そちらで肯定されて胸を撫で下ろすという、まさに王道パターンがここにもあったわけです。
すないぬさんも書いていますが、公的な補償というのはほぼ無いに等しいし、難病指定にもなっていない。とにかく苦しいのに救済されないという点は非常に困ったことだと思います。
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ところで私もこの「ブレインフォグ」を2年ほど抱えているのですが、若年性の線維筋痛症には発達障害が合併する例が多いだとか、発達障害の薬が線維筋痛症にも効いたという論文を見つけて、それで自分も発達障害の薬を服用してみることにしました。
(※ 線維筋痛症と筋痛性脳脊髄炎ってほぼ同じなの?ちょっと違いがよくわかりません。あとで調べる)
参考サイト
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この論文はあくまでも一例なんですけど、まぁやってみないとわからんよねということで、主治医と相談してアトモキセチン(商品名=ストラテラ)を5月の末から服用しています。
服用してびっくりしたのは、それまでの私はもう、脳内の思考ストームっていうんですか、思考すごかったんですよ。常に常に何かを考えていてそれで疲弊しているという感じ。やめたくても自分の意思で止められない。専門的には「反芻思考」と呼ぶらしいんですが、眠りながらもぐるぐる考えているのが自分でわかるから、眠ってると思えないくらいで。
いつだったか、ADHDを告白しているアナウンサーの小島慶子さんが、ADHDの薬を飲んだ時に、「え?みんなこんなシーンとした世界に暮らしているの?」という話がありましたが、私もかなりこれに近い感覚を味わいました。
ストラテラはそこまでの即効性はないと言われている薬なのですが、以前のような反芻思考は、だいぶ減ってきたなぁと思っています。今、飲んで2週間くらいになるんですが、ほんのわずかですが生活面では楽になるところが出てきているので、飲んでよかったかも。飲み始めの副作用はかなりキツかったですが。
というわけで、特になんのオチも無いんですが、ブレインフォグについて書いてみました。
おわり