ちょっとあんまり暗いエントリを続けて書いてしまったので、ちょっと違う話題でも書いてみよかと思います。
能舞台についての話です。
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私はかねてから婚礼写真を能舞台で撮りたいという夢があって、それは無事に達成することができたのですが、そのためにあちこちの能舞台に連絡をとったり実際に下見に行かせてもらったり、あれこれと能舞台について調べました。
いやー、自分が思っているよりはるかにたくさんの能舞台が京都市に現存していた。面白かったです。
能を習っている知人に師匠の能楽師さんを紹介してもらい、さらにその能楽師さんのツテを辿り、その先でまる1日能舞台を貸していただき、そこで撮影をさせてもらいました。
…というわけで、今日は京都にある能楽堂をいくつかピックアップしてご紹介。
へー、こんな場所があるのねーと思っていただければ幸いです。
京都ですと能楽と一般人の距離が近くて、ごく普通の人がお能を習っていることはさほど珍しいことでもなく。
私がよく行っている「わたつね」という蕎麦屋があるんですが、ここのお父さんも長年お能されてまして、以前は店内に能舞台で舞っている姿の写真が飾ってあったりしました。
わたつねは美味しいのでおすすめです。
婚礼の撮影というのは案外ハードルが高く、撮影禁止になっている舞台なども多かったんですが、なんとか撮影できる舞台が見つかり、さらにスケジュール的にも大丈夫だったというのは僥倖としか言いようがない。ありがたき幸せ。
ちなみに能舞台に上がるにはかならず白足袋の着用が必要になってきます。
なのでカメラマンさんやメイクさん、衣装の付き添いの人、見学にきた家族などの分もすべて白足袋を用意。
能舞台の上というのはいわば“聖域”で、絶対に白足袋が必要になります。また、能舞台で用いる小道具以外も置いてはいけません。
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能楽の中には流派がいろいろあるんですが、ここは観世流の総本山のような場所です。
ここの鏡板の松の絵を手がけたのは堂本印象だったかと思いますが、こんなモダンなのめったにない。照明もほんわりと明るい感じですごく良い。
一応問い合わせたんですが、写真撮影はダメとのことで諦めました。
でもすごい素敵で本当にここの舞台は好き。能舞台の中で一番好きなんではないかな。
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これも婚礼撮影ができないかなと問い合わせて断られてしまったんですが、左京区の修学院というところにある「修学院山荘セミナーハウス」。
ここはもうひたすらに雰囲気が良いですよね。雨が降ったら大変ですけど。
ものすごい清涼感がある。かっこいい!渋い!
こちらでは10月7日(金) に、「羽衣」をやるんですね。
この時期の修学院は微妙に寒そうですが、行けたら行きたい!
修学院セミナーハウスは泊まることもできるんですね。どんな感じなんやろ。
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上京区にimpuct hub kyotoというコワーキングスペースがあって、そこはなんと能舞台のある一般住宅を改装してコワーキングスペースにしたという、すごいロケーションで、さらにその能舞台から見える中庭がくらくらくるほど幻想的ですごかったんですが、今調べてみたら場所が変わってしまってました。。
う〜ん、これは残念。。
このコワーキングスペースは能舞台の前に赤い毛氈を引いて、革張りの小さいソファーとか置いて対談形式のイベントとかをやったりしてて、それがめちゃくちゃかっこよかったんですが、いかんせん個人宅だったため、あれこれあったんでしょうね…。。
おそらく能楽師さんの家だったのだろうと思われますが、あの空間はすごかった。
まだ現役であってくれたら載せられたのですが、残念。。
たまたまですが、数年前、自分の知人がここで作品の写真撮影を行ったことがあって、写真家さんとデザイナーさんの双方から許可を得られたので、impuct hub kyotoにかつてあった能舞台の練習場の写真を載せておきます。かっこいい!
出典 http://www.kenjironakamura.com/
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能舞台には新しいところと古いところがあって、それぞれに魅力が違います。
私たちが撮影で使わせてもらったのは築50年くらいでしょうか。そこそこ年季が入ったかんじで。。一方、新しめの能舞台はそれはそれで素敵というか、白木が綺麗やったりとかね。
京都市に現存する屋内の能楽堂で、もっとも古いと言われているのが、「大江能楽堂」です。
http://www.asahi-net.or.jp/~tn4m-ooe/
こちらでは体験レッスンなんかは受ける事ができるんですが、やっぱり婚礼写真はちょっと無理ですわと言われて断られました。古さがすごいよねここ。
一番最初に挙げた「観世会館」の能舞台と比べると、本当に雰囲気が違うのがわかります。
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ここから先は余談なんですが、知人のとこの「陶々舎」ていう家があるんですけど、そこで時々、「陶々座」という能をやってたんですね。
ごく最近なんですが、天才絵師の諫山さんによって鏡板を模した板に松の絵が描かれて、ちょっと能舞台っぽくなってきた。
一般家庭よ、コレ(゚ω゚)
すごいな。住んでる住人に建築家(大陸氏)がいるからこんなんが可能なんでしょうけどすごいよね。
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そういえば、私と夫が婚礼写真を撮った能舞台は、なんとその年のJRの冬の旅というキャンペーンに使われて、舞妓さんがお能を習っているというポスターに用いられてました。私たちにはなんの関係もないんですが、地味にうれしかった。
こんなん書いてきましたし、お能は何度も観てますが、、
まったく聞き取れません!(゚ω゚)
でもこれを室町時代の人は理解して感動したりしてたわけですから、当時の言葉はこんな感じやったんでしょうか…。。
最後にですが、私の婚礼写真の撮影は「河村能舞台」さんというところで行いました。
この撮影はなかなか面白かったので、どなたかの役に立てばと思いますので、また詳しく書きたいと思います。
おわり