けっこう毛だらけ猫愛だらけ

いつもニャーニャー鳴いています。

地域猫とご老人の孤独問題について考える(2)

前回のエントリのパート2です。

前回のブログを書いた後、あまりにも強い虚脱感に陥ってしまってブログを書くのがずいぶん遅くなってしまった。

前回のエントリはこちら↓

nenesan0102.hatenablog.com

私は6年ほどこの公園のボランティアを続けてきたわけだが、その間に色々な人が現れては消えていった。公園に来ていた人たちは何かしら問題を抱えた人がかなりの割合でいた。初期の頃に出会った女性は夫に頻繁に暴力を受けていた。この人はしばらく居たが徐々に来なくなってしまった。この女性も精神的に相当病んでいて、私もゴタゴタに巻き込まれたりした。

 

コロナ禍になってからとりわけ頻繁に来てくれたのは、50代の女性ボランティアのAさんで、なんと1日に3回も猫たちのために公園に来てくれた。1日3回も来ているものだから猫たちに愛着が沸くのも無理もないことで、猫たちもまたAさんに懐いていたと思う。だが、1日に3回も来ているとなると、同じ時間帯に来た人がAさんの長居に拒否感を示して役所に苦情の電話が入ったことが何度もある。

 

Aさんが猫たちにかける愛情はすごくて、夏は熱中症の予防のために保冷剤をわざわざ家から持ってきて猫の体を拭いてやり、冬場は毎日段ボールを用意して中に毛布を敷いてやり朝にまた回収するのである。(朝にハウスを回収するのは私とAさんとで交代に担当していた。冬場の気温がマイナスななか、朝7時前に行って回収する)

 

togetter.com

私は当初、このAさんにてっきり家族がいるのだろうと思っていたが、実は彼女はずっと独り身で働いていたが、ある日突然脳梗塞で入院。その後は以前と同じようには働けなくなり生活保護になってしまったという人だった。見た目がとても50代に見えないほど老けていて皆60代後半くらいだと皆が思っていたのだが、60前と聞いてびっくりしたものである。

Aさんは「私がおかしくなってしまうから、どうか猫を保護しないでください!」と強く主張していた。その気持ちはわかるが、やはりそのメンタルの問題はAさんの問題であって猫はAさんの孤独を癒す道具ではないのである。

 

このAさんについては、以前ブログを書いたことがある。(注:この過去の記事ではBさんとして登場している)

nenesan0102.hatenablog.com

このブログにあるように、ゆっくりと公園での時間を過ごすことで傷を抱えた人々がお互いにゆるい関係を結べることはとても良いことだと思う。公園から猫が消えてしまうと、こうした関係性はぷっつりと途絶えてしまう可能性もある。私もそのことは少し引っかかっていたので複雑な気持ちでいた。

 

6月の半ばくらいだったろうか。2匹いる猫のうち片方の猫が、3日ほど姿が忽然と消えてしまった。姿を現した時は前足を盛大に骨折していた。

目に見えて左足だけが腫れ上がり、足をぷらんとさせたまま歩いていたのを見て、さすがにもうこれは危ないという話が再度持ち上がってきた。

公園にいたもう一匹の猫も健康状態がひどく、脇腹の皮膚炎が痛々しかった。この子はいつもグッタリとして日を追うごとに痩せこけていくのがわかった。外猫というのは夏の暑さで死んでしまうことも多い。なんとか10歳まで生きてきているがこの夏を乗り切れるのか…。

K子さんという若いボランティアさんが、Aさんに「このままじゃ二匹とも長く保ちません。あなたは猫を死なせたいんですか?このまま早死にさせるか、保護するかのどちらかですよ」とキッパリと宣言した。これを聞いてAさんはさすがに目が覚めたのだろう。急に保護に同意してくれることになった。

それと同時に奇跡的に二匹揃って引き取ってくれるという里親さんがたまたま見つかったのである。

とても穏やかな里親さんで、猫たちを愛情をもって可愛がってくれた。猫たちは里親さんの家に引き取られ、伸び伸びと過ごすうちに見違えるように元気になった。

この写真は10月のものである。里親さんは定期的に写真を送ってくれる。

 

二匹の医療費は結構な額がかかったが、ボランティアたちで出し合った。ここでもまたAさんの関係で揉めたり色々あったが割愛。

いま猫たちの保護から4ヶ月ほどが経ったのだが、 Aさんは別の場所での餌やりに精を出しており、そちらで楽しくやっているようだ。(相変わらずいさかいは起こしている模様)

 

さて、この公園はどういうわけか変な人を呼び寄せてしまうところがあるようなのだが、変態おっさんが現れるよりも前のことである。60代くらいのよれたスーツを着たTというおっさんが公園に現れるようになった。

その人は猫の餌を大量に持っていて、我々餌やりをやるボランティアにその餌を大量に差し出して「僕も猫を飼っててね。あ、これ使ってください」みたいなことを言ってくる。ボランティアをやる人は多くがおばちゃんなので「あら!そうなの〜!」となって、Tはただ餌を持ってきているだけなのにいつの間にか輪の中に加わっている。 Aさんなんかは「Tさんすごく良い人!」となっていた。

ところがこの人が、いざ猫を捕獲する段階になってものすごく嫌な顔をした一瞬の、まさに苦虫を噛み潰したような表情を私は見てしまった。Tのその表情を見てどうにも訝しく思った。

 

猫の捕獲からしばらく経った頃、捕獲に携わったボランティアK子さんから緊迫した様子で電話がかかってきた。

「ねねさん!もしやTにお金とか貸してませんよね!?」

ああ…きたか。やはりそれか。

聞けば、Tはあちこちの地域猫の場に出没してはボランティアさんと親しくなり、親しくなった頃を見計らっては寸借詐欺を繰り返しているという。

とあるボランティアさんはすでにTに35000円も貸してしまっているというではないか。それ以外に別の地域で3人ほどがそれぞれにTにそれなりの額のお金を貸しているという。

私の脳裏に、猫たちを捕獲した時にTが歪んだような顔をしたのがありありと再生される。

前回のブログに書いた、GWにあった頓挫した捕獲の時Aさんの側にたち、猫の保護に強硬に反対したのがこのTだった。ああ、この人は最初からカモを探してきていたんだなと……。思えば Tは猫たちに積極的に関わるわけでもなくブラブラしながら公園でタバコを吸っているばかりで違和感があった。

しかし「寸借詐欺」というのは、それを詐欺だと立証するのが難しい。聞けば Tは「今度、100万くらいの大金が入るのでそのとき返します」と言っては姿をくらませてしまう。この言い方もすごい怪しい。

私とK子さんは「なんであの公園ってこんなやばいの…」とゲンナリしたものである。

 

実はこの公園には、近くに住むとあるおばあさんが、飼っていた猫が死んだら次々と適当に公園の土を掘って埋めていたというちょっとしたヤバイ話があり、「もしかしてこれのせい?!」となったりもしたが、真相は謎である。

 

インターバルがだいぶ空いてしまったが、ようやく色々あった一連の出来事をブログに書くことができた

 

それにしても公園には〇〇が落ちていたり、使用済みの〇〇が落ちていたり、本当にさまざまなことがあった。私があまりの疲れで燃え尽き症候群のようになってしまったのも無理はないかもしれない。

猫たちがいなくなった公園はごくたまに人が休んでいたりもするが、もうおばちゃんとおばあちゃんが集まってワイワイすることもないので、すごく閑散としている。一抹の寂しさは覚えるが、やはり猫たちを保護できてよかったと思うし、嫌がらせをしてきた人もこれでもう嫌がらせをしなくて良くなった。

 

 

また何か書くかもしれないが終わり。