去年になるが、Aさんという知人のおばあちゃんについてブログを書いたことがあった。
今日のエントリでは、このAさんのその後について書いてみたいと思う。
結果からいうと、Aさんは以前のようにバリバリに回復したという訳ではないのだが、いつも笑顔でいるようになった。
ちょうど去年のこのエントリを書いた頃、公園にBさんという、60歳くらいのおばちゃんが頻繁に現れるようになった。Bさんはいつも片足を引きずって歩く。膝でも悪いのかなと思っていたら脳梗塞の後遺症だった。Bさんはあっけらかんとした朗らかな性格の人で、声も大きくいつもハキハキと話す。気が強くておしゃべりでパリッとした性格をしたおばちゃんだった。おとなしくて物静かなAさんとは対照的な性格だった。
AさんとBさんは顔を頻繁に合わせるうちになんとなく意気投合して、ほぼ毎日時間を示し合わせて公園で落ち合い、のんびりと日差しの下でなにくれともなく時を過ごすようになっていった。
鬱になった人はわかるかもしれないが、すごく落ち込んでいる時に、全く関係のないフラットな感覚を持つ人と話すと、不思議に救われる時がある。
Bさんは脳梗塞の後遺症を抱えてはいるが、小気味良いくらいのさっぱりとした性格だ。それがよかったのか、AさんはBさんと過ごすうちにどんどん笑顔が増えてきて、今ではほぼ毎日笑うようになっていった。会えば「ねねさん」と呼びかけてきてニコニコと笑顔でいる。(マスク姿だが)
Bさんの方は、Aさんが鬱病に悩み強い希死念慮に悩んでいたとかはさっぱり知らない。ただいつも通りに過ごしているだけである。
私はいつ頃だったか、いつかAさんから話を聞いたベンチに一人で座りながら、ふとこれってすごいことなんじゃないかと思った。
Bさんは独身のままで一人暮らし。脳梗塞のあとはほぼ毎日病院のリハビリに通いながら一人暮らしを続けている。リハビリ後に少し遠回りをして公園に立ち寄ることが日課になっている。
Aさんは去年は家事もできないほどに弱ってしまっていたが、Bさんに会いにくることで心の癒しを得て、気持ちをリフレッシュして帰っていく。
お互いが相手に会いにくることがそれぞれのリハビリになっていたのである。
二人はお昼頃に待ち合わせて公園で落ち会って、太陽の光を浴びながらのんびりと時を過ごし、「また明日ね」とお互いに言い、帰っていく。これがこの二人にとってほどよい距離感なのだろう。
願わくば出来るだけ長く、二人がのんびりとした時間を穏やかに過ごせるようにと思っている。
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先日のことである。公園に、Mさんという少し若い女性が婚約者を連れて来ていた。
「ねねさん〜」と呼ばれて振り向くと、Mさんが遠くで手を振っていた。
このコロナ禍なので、Mさんのご両親の提案で婚約者の挨拶を公園ですることにしたという。
Mさんとは去年公園で知り合ったのだが、実は彼女には離婚歴があって、前の結婚がすごく辛いものであったであったのを私は聞いていた。おまけにこの彼氏とのお付き合いは馴れ初めあたりからずーっと相談に乗ってきた感じだった。
公園の片隅でご両親への挨拶を済ませたあと、Mさんは私にも婚約者を紹介してくれた。朴訥とした真面目そうな婚約者を紹介されてなんとも感慨深い気持ちになったりした。
Mさんどうかお幸せに。
そんなこんなで公園は今日も人間模様が交差しているのでした。
サムネイル用。最近買った猫の置物です。かわいい。
おわり