けっこう毛だらけ猫愛だらけ

いつもニャーニャー鳴いています。

大衆ってバカなんじゃないかと思った話

こんなタイトルをつけてしまうと、「お前だってポンコツじゃないか」という声が飛んできそうだけれど、それは棚にあげておいて記事を書きます。

 Covid-19の新規感染者数がうなぎのぼりである。

nordot.app

 東京五輪の開催と新規感染者増を単純には結びつけられないが、東京五輪の税金の負担がすごいという記事もあった。

www.moneypost.jp

トップブコメには賛成。

東京五輪の国民1人あたりの負担額「都民10万3929円」「国民1万408円」 | マネーポストWEB

招致前に「負担は最大10万になりますが、開催しますか?」と選挙で問うのが民主主義のプロセスだろう。後から10万と言い出すのでは、ぼったくりバーと同じだ。

2021/07/29 09:31

b.hatena.ne.jp

東京五輪は、当初は「コンパクトな開催」というのをひたすら強調されていて、それを鵜呑みにしていた人も多かろうと思う。いつの間にかどんどん予算が膨れ上がっていった。ぼったくりキャバクラで例えるなら、いつの間にか女の子がわらわらと増えていって勝手にドンペリ注文を連発されたという感じだろうか。

 

東京五輪福島の復興とかいうのが掲げられていたはずで、東京五輪反対というと、まるで福島の復興に反対しているかのような雰囲気に受け取られた。そういう意味ではすごく卑怯な戦法で五輪開催をゴリ押ししてるなと私は感じていた。 

東京五輪の国民1人あたりの負担額「都民10万3929円」「国民1万408円」 | マネーポストWEB

石原、猪瀬と東京五輪開催推進の都知事を選んだのは都民でしょー。都民だけで負担してよ。国全体で負担するのはやめて。他県民からすると迷惑だ

2021/07/29 10:34

b.hatena.ne.jp

 私がちょうど東京へ引っ越してきた頃に東京都知事選挙が行われていたが引越し直後だったので私にも夫にも投票権がなかった。

結果は小池百合子の圧勝だった。しかし投票した人たちが東京五輪がまさかこんな状況になってしまうなどとは当時はとても想像しえないし、前にも書いた通り東京五輪は「福島の復興」を掲げていたから、反対するなんて酷い!福島がどうなってもいいの?という雰囲気が強くあった。

あの頃に未知の感染症の到来なんてほぼ誰にも予測がつかなかったし、こうして税金という形で都民や国民に負担が来ても、やはり「選んだのは大多数の人なんだよな」というのは拭えないし、もっと言うと選挙にすら行かない国民の方が多いのだ。

 ■

選挙といえば、私にとって忘れられない思い出がある。

小学生の頃の話なので古すぎて記憶が多少曖昧なところもあるのだが、その一件で私は「もしかして大衆ってバカなんじゃないのか」と思ってしまったのである。小学生だからというのを加味してもなんとも言えない体験だった。

 私の通っていた小学校では、例年、生徒会長の選挙があった。投票できるのは3年生以上の生徒で、立候補した人の中から生徒会のメンバーが選ばれるという仕組みだった。

6年生の最終学年の年、生徒会長には3人くらいが立候補した。

自分のクラスからはとある男子が立候補した。この秋山君(仮名)というのがジャイアン出来杉君を足して二で割ったような、くりくりとした大きな目が印象的な、リーダータイプのインパクトの強い男だった。彼の立候補にはクラス中が結構沸き立ってしまって、秋山はめっちゃいい奴だから絶対いける!という雰囲気に皆が包まれてしまった。私も「秋山君なら皆が納得して票を入れるだろう」と心から信じていた。

皆で選挙活動を開始した。私たちは小さなグループを作って秋山君の主張をポスターやビラにした。似顔絵の上手い別の男子は秋山君の似顔絵をポスターに描いて、主張を周りに描き込んだ。まさに小学生が考えましたという感じのポスターが出来上がり、それを校内に貼り付けて回った。秋山君は俗に言う「辻立ち」というのをやって、毎日少し早く学校に来て自分への投票を生徒たちに呼びかけていた。

 

しばらく経った頃、別の候補者のポスターが私たちの作ったポスターの近くに貼られるようになった。私たち秋山チームには衝撃が走った。対抗馬の5年生の女子が作ったポスターは私たちのポスターとあまりにも違ったからだ。

5年生の夏川春子さん(仮名)のポスターは、アニメの模写をしたものだった。その日から、アニメポスターが校内のあちこちに増えていった。

 夏川さんのポスターには一切の主張が書いてなかった。何も書いていないから、夏川さんがなにを目的に候補しているのかすらもわからない。ポスターにはその当時あった有名なアニメキャラクターがひたすら多く描かれていた。ドラえもんドラゴンボールジブリ、名作アニメ劇場みたいなものもあった。おそらくトレースをしているのだろう。正確に描かれたアニメキャラクターたちが校内に次々と貼り出されていった。

 

f:id:nenesan0102:20210728141359j:plain

※こんなイメージ

 

この夏川さんのポスターの評判はすこぶる好評だった。トレースなんだから上手いに決まってるんだけど「夏川さんは絵が上手い」と評判になった。絵が上手いとなんで生徒会長に向くのかがよくわからないのだが、とにかく「すごい」と評判になった。

この時点では誰も夏川春子さんの姿を知らなかった。そうこうするうちに、私たちは夏川さんというのは、秋山君をはるかにしのぐ才色兼備のすごいカリスマ美少女なんじゃないかという不安に満ちた空想をするようになっていった。

 しかし他の候補者が次々と辻立ちを始める中、夏川さんは最後の最後まで現れなかった。だから同じクラスの人以外、最後まで夏川さんの姿を全く知り得ないまま、選挙の日が来てしまった。

 

結果は、夏川さんの圧勝であった。

なんと8割くらいの票を夏川さんがかっさらって行った。

秋山君はあれだけ頑張ったのにと思うほど票を取れなかった。

最後まで人の前に姿を現すこともなく、主張すらも一切書かなかった夏川さんがダントツの票を集めて生徒会長に当選を果たしてしまったのだ。

 私たちは悔しさを胸に夏川さんの姿をひと目見てやろうと選挙会場で待っていた。そして呆気にとられた。夏川さんは、背の小さな、本当におとなしそうな、ガリガリに痩せた色の黒いとても地味な女の子だった。話す時も小声でボソボソ、圧勝で生徒会長に当選しているのに笑顔が全くなかった…というか無表情に近いくらい笑っても顔が変わらない人だった。これは辻立ちに立たないのも無理はないと思った。

 

 クラスに戻ると秋山君が落選したという話題で持ちきりだった。とある男子が、

俺は夏川さんに投票した」などと言っているではないか。早速、秋山チームの女子数人が駆けつける。

「ちょっと〇〇、うちのクラスなのに秋山に投票しなかったの?」

あ、俺、コナン君好きだからさ…

「あのさぁ、コナン君と夏川さんと何の関係があるわけ?関係なくない?」

いや、関係ある。だってポスターにコナン君が

「え?関係ないでしょ?何言ってんの?」

関係ないと主張する女子チームと男子の意見が平行線で全く通じない。

 そこへ同じ秋山チームの別の女子が入ってきた。

「3組に行って聞いてきたんだけど、やっぱりあのポスター良くて夏川さんに投票した人多かったんだって…」

わかってはいたが、やはりアニメポスターの威力は絶大だった。そりゃ毎週テレビでやってるんだもの。知名度がすごいよね。

ふと見ると先程の男子が「やっぱり俺が合ってた!俺が正しい!」とギャーギャーと騒ぎながらニヤニヤとこちらを見下すように笑っている。

ああ、これが勝ち馬に乗ったというやつなのか。

 

 秋山チーム女子はどうしても納得が行かなかった。コナン君は人気だ。けれどコナン君と夏川さんのどこにどう関係があるのかがさっぱりわからない。コナン君とうちの小学校とどういう関係があるのだろうか。それどころか生徒会ともなんの関係も私には見いだせない。

だが、投票した男子は「関係ある」と言う。夏川さんが何らかの関係があるからこそコナン君がポスターに登場したのだと主張して譲らない。胸を張って堂々とそう主張するのだ。

 

夏川さんは多くの生徒たちの心をぎゅっと掴んでしまった。

コナン君だけではない。ドラえもんも魔女宅のキキもいた。多くの人がどこかで目にしたことのあるアニメのほとんどがポスターになっていたのだから。

 この戦法は本当に小学5年生の女の子が考えついたことなのだろうか?

ライトテーブルか何かを使ってトレースで正確に描かれたアニメポスター。とても小学生の案には思えなかった。今でも何かしら大人の知恵が入っていたのでは?としか思えない。

夏川さんがうまかったのは、なんの主張も書かなかったことだ。

だから皆が勝手に自分の理想像を夏川さんに投影してしまった。それどころか夏川さんは自分の姿を人前に見せることすらしなかった。だからほとんど人が夏川さんの姿から何も受け取ることができなかった。

クラスの男子は、クラスメイトだから秋山君の人柄や容姿を知っている。それでも夏川さんの方が理想を投影できたという点で勝ってしまった。

 

秋山君が負けたのは夏川さんにではない、アニメの力に負けたのだろうなと今でも思っている。もちろん負けた事実は変わらないのだけれど。

 

 さて、前出の都知事選の話に戻るが、かつて都知事であった石原慎太郎氏は「ババア発言」という失言で知られる人物だ。

mainichi.jp

 実に20年前の話になるが石原慎太郎のババア発言の後も都知事選があったにも関わらず、なんと多くの女性有権者が石原氏に投票してしまったのである。

私はこの票の何割かは、石原裕次郎の存在に寄るところが大きいと思っていて、都政と石原裕次郎とほぼ何も関係ないのだけれど「私、裕次郎さんファンだし…、お兄さんだから」という人がかなりいたんじゃないかと思う。さっきのコナン君と全く同じ図式である。そこそこ年齢のいった兄弟は明らかに別人格のはずなのだけれど、イメージの力というのがいかに大きいかというのをしみじみ感じてしまう。

以前、小学生が選挙ポスターの前で「誰が一番イケメンか」というのを話し合ってい他ことがあるが、大人になってもこのレベルの人はいくらでもいる。

 

少し前、NHKのニュースで「境界知能」が取り上げられていたが、今回のこのブログでそこに触れてしまうともう収集がつかなくなるので今回はスルーするが、夏川さん推しの男子が境界知能とは思わない。境界知能は人口の14パーセントほどのようだが、じゃあそれ以外の人々が深く多角的視点でモノを見られるかというとまた違うんじゃないのか?とも思う。こんなふうに書くとまるで私が一般大衆の人々を小馬鹿にしているように受け取られそうだけど。

 

が、私はこの一件以来、自分のことは差し置いて「まぁ大衆なんてそんなもんだよな」と思うようになった。

 

ところで、新型コロナに関して言うと、こんなニュースもあってびっくり。

www.sankei.com

私自身はついに直接の知人が陽性になってホテル療養&後遺症の発症という状態になっているので、正直もういつ自分が陽性になってもおかしくない、もはや最後は運…!くらいの感じでいるのだが、アンケートなどの結果を見るとこのような感覚の自分の方が少数派のようだ。

街を歩くとノーマスクの人が毎日必ず複数人いるので、不思議に思っていたのだが、このアンケートとリンクする。

他の人はどうあれ、私自身はコロナは怖いのでこれからも対策はしておこうと思っています。ちょっと文が散らかった感がありますがこれで。

 

 

おわり