けっこう毛だらけ猫愛だらけ

いつもニャーニャー鳴いています。

シロクマ先生の記事についての雑感

なんだかシロクマ先生の寄稿した記事がバズっていたので、それについて感想を書いてみようかなと思う。

blog.tinect.jp

この記事について、すごいあれやこれやとブクマがついて、それを読んでいてもなるほどなぁと思ったりするので、やっぱりはてブ面白いですね。

今の時点でトップコメントになっているのが、この、korosukent さんのコメントで。

「自分のような無能は子どもを持つべきではない」という考え方は「世俗のきわみ」。 | Books&Apps

自分の子供には当然「幸せになってほしい」と思うのが多数だと思う。でも自分ではその「幸せを与えてあげられない」と思ったら、そりゃ作らないという選択は合理的だと思う。主義とか難しい話ではなく

2021/06/23 11:16

b.hatena.ne.jp

これは本当にあると思うんですよね。子供をこの世に生み出すのだとしたら、できるだけ幸せになってほしいと思うし、親としてはそのために努力したいなと思う。

で、そうじゃないのがわかりきっていると、やっぱりなんだか申し訳ないなという感じになって、そういう苦しい思いをさせてしまうくらいなら作らない、みたいな人が多いのかなと思う。そういうのは、マイルドな反出生主義に入るのだろうか。

 

ところで、いつだったか考えたことがあったんですが、すごく苦しい状況でも病気や障害があっても、それでも子供産むって人も中にはいて、そういう人ってやっぱり楽観主義なのかな?と思ったことがあります。私はかなりの悲観主義者だから、やっぱり気質がかなり違うんかなと思う。

身近な例で言えば、まさに私の母親がそのタイプで、「赤ちゃん可愛いから、じゃあ産もう!」くらいの感覚でポンポンと生んでしまった感じなんですよね。なんかそこに、「この子の人生は」「経済状況は」「周囲との関係性が」「これからの国の経済は」とか、そういうのはあんまりなくて、「赤ちゃん可愛いし可愛がりたいから産むわ」くらいの感じなんですよ。まぁ母親が子供を産んだ時代は日本経済が過去最高にイケイケドンドンだったので、そりゃまぁよほどの問題がなければ産むわなって感じなんですけど。

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 『アスペル・カノジョ』という漫画作品があるのだけれど、この中に、主人公のアスペ女性が「妊娠したらどうしよう」と困惑を見せるシーンがある。

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アスペルガー女性、斉藤さんは、「妊娠したら絶対に堕ろさせてください」「結婚して子供を産むなんて考えないでください」と涙ながらに訴える。

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カッター持ってると安心する気持ちわかりますか?」「いつでも終われるから安心する

 …とまぁ、こうした感じで、斉藤さんがアスペルガーならではの苦悩みたいなものが語られていく。この感覚はすごく私はよくわかって、私がかつてこのブログで書いたエントリ「安楽死を認めて欲しい」という感覚に近い。そうした救済があることで逆に安心することができる。

 アスペルガー女性の全てがアスペルガーの子を出産するとは限らないのだが、何らかの発達障害の子が生まれてくる確率は健常者同士のカップルに比べると高いだろうし、何よりもアスペルガーの女性が子育てという極めてストレスフルな環境に身を投じなければならないこと自体がリスキーだ。

ただでさえ発達障害の人はストレスに弱い脳をしているのだが、そこに発達障害児が生まれてしまうと、元々の体や脳が相当にタフでなければギブアップしてしまう可能性が高い。

私は自分が発達障害のため、同じく発達障害の当事者の人を何人も知っているが、「子供を育てられなくて児相に取り上げられた」とか、そういう話がちらほらあって、健常の人が健常児を育てている場合との落差の大きさに軽く衝撃を受ける。

 

ところで私の知人男性には、妻がアスペルガーという人がいるのだが、子供ができてしまったので堕ろしたがる妻を説得して子供を産んでもらった。ところがいざ子供が生まれてみたら妻が本当に何もしない。妻曰く「なぜ私が産んだからといって私が世話をしなければいけないのかわからない」と言って、乳幼児の子供を床に転がしたままテレビゲームをずっと続けていたのである。

この話を聞いて私は初めは「ええ…」となったのだが、言われてみれば「まぁ確かに」と思うところもある。「子供を産んだら世話するはずだ」という、その辺りがそもそも脳にインプットされていない。全てのアスペルガー女性がこうというわけではないが、こういう人も中には実在するわけだ。

私自身も健常の人に比べれば明らかにポンコツというか、抜けてるところがガンガンあるので、「そうか…そうよな」という気持ちになった。この夫婦はたまたま夫が結構しっかりしているので、夫の方がひたすらに子供の世話に明け暮れた。今も離乳食を作るのは父親がやっていて、妻はあまり何もしていないようである。

そういう意味ではアスペルガーの人はだいぶ健常と変わっているところがある。母親に向くかどうかは個人差があるだろうけれど。

シロクマ先生のいう「世俗の極み」というのがいまいちなんのこっちゃよくわからないのだけれど、発達障害とかに関係なく、子供を持つ余裕のない人が子供を持てなくなっていくのは今の社会においてはもう仕方のないことなんじゃないのかなと思う。

私自身も、自分の発達障害がはっきりするまでは、無邪気に「子供が欲しい」と考えていた。32歳くらいの時だ。あの時子供を持っていたら今とは人生がまるで違っていたのではないかなと思う。このとき付き合っていた彼には「僕は障害児が生まれるのが怖い」と言われていたので、もしこの人との間に子供を儲けていて、その子供が障害児であったなら離婚していた可能性の方が高い。

 統計とかを出すことはできないのだが、女性が障害児を産んでしまうと離婚率がかなり高くなって、仕事もうまく見つからずに困窮してしまうという話が結構ある。子供が障害児であることに耐えられなくなって逃げ出してしまう父親がいるのもあるし、子供につきっきりにならざるをえなくなって夫婦の関係が大きく変わってしまう側面もあるかもしれない。

初めから障害児を望む人というのはまずいないのだけれど、障害児をめぐる社会的なサポートが充実しているとは言い難いので、よほど環境に恵まれた人以外はカツカツのシングルマザーになってしまうことがほとんどで、その状態で子供を一人で育てて行かねばならないのは相当苦しいのではないかと思う。

 

挙児というのは、本当に人生を大きく左右する出来事なので、どうしても慎重にならざるを得ないんだろうなと思う。(個人的にはその人の人生にお金を出すわけじゃないならほっといたらと思ったりする)

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 私は反出生主義者ではないので、産みたい人が産むのはどんどんやって欲しいと思うし、子供が生まれないと国が傾いてしまうので、できる限り子供は生まれて欲しいと思う。そして、できることなら幸せに満ちた環境で育つ子供が増えて欲しいと思うんだよなぁ。自分自身は子供を幸せにするという自信がないので無理だったのだけれど、幸せな人が社会に増えて欲しいと思う。

 

シロクマ先生の記事の発端となったかもしれない匿名ダイアリーも貼っておきます。

anond.hatelabo.jp

 

 

 

おわり